ちょこっと感動日記

毎日のちょっとした熱~い感動を綴るマイブーム日記。音楽、本、マラソン、映画、サッカーのこと あれこれ!

又吉直樹『火花』を読んで!

 



 お笑いとは 一体何であるか?とまじめに 突き詰めた二人の生き方を 描いた純文学の小説 ピース又吉の芥川賞受賞作品『火花』を 前回のディビッド・ボウイのCDを お借りした人から この本も貸してもらいました。やっぱり お笑い芸人が 純文学の世界で どういった物語を書き 芥川賞を受賞したのか 興味がありました。  


 初めは 中島らものような まじめなようで 少しふざけている物語で 笑わせてくれる小説を 期待しましたが <火花>は純文学として お笑い それも漫才を題材にして 一体 笑いとは 何だろうか と 少々まじめに 突き詰めていく小説で 多分 珍しく 少なくとも 私は 読んだ中では なかったと思います。


 主人公の<スパークル>という売れない漫才コンビを 組んでいる徳永が <あほんだら>という これまた売れないコンビの神谷さん 花火大会の寄席で 出会うところから始まります。神谷さんのお笑いに対する姿勢や生き様に感動した徳永は 神谷に弟子入りを申し込みます。神谷は「俺の伝記を書くこと」というのを条件に 徳永の弟子入りを認め、お笑いについて 語り合うようになっていきます。


 徳永は、とても真面目で 対照的に 神谷さんは人生そのものがお笑いであるかのような人物。徳永は 客に対してどんなことがウケるのか考えたり、自分たちが どうすれば売れるのかを考えますが 神谷さんは 自分が 生きているだけで お笑いだと考え 自分の面白さに 自信を持っています。その自信が 裏目に出てしまうことが 多く出てきます..........。


 スパークルが 少しだけ売れたころ 解散することになります。その時の 神谷さんの言葉が すごく感動的です。「他の仕事で 飯食うことになっても 笑いで ど突きまわしたれ!一回でも 舞台でたった芸人は 芸人でおらしてくれる人が 周りにいるんや!家族であったり 恋人であったり。だから 何をやっていても 芸人に 引退はないんや!」と。


 物語は 起伏に激しくなく 大きな展開もなく 幕を閉じる地味な小説と言えますが 二人の会話が 普段の生活の中での 自然な感じで描かれていて 生きることの絶望と希望、堕落と栄光が さりげなく 描かれているのが いいところです。


 私は 生粋の大阪人で 幼い頃から よしもと新喜劇や 漫才を 見ることが 大好きでした。友達同士で 新喜劇のねたを いいあったりよくしていました。そして大阪の人が 普通に会話していても 漫才みたいに聞こえる と 何度言われたことでしょうか<笑>。大したことを 言っていないのに それが 笑いに変ってしまう 大阪特有のイントネーションや間(ま)は 恐るべし と思います。


 今回 この本を読んで いつもより 少しだけ 笑いを 掘り下げた所から 見れるようになりました。それだけでも 価値は あったんじゃないかと思います。 


 



 

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