ちょこっと感動日記

毎日のちょっとした熱~い感動を綴るマイブーム日記。音楽、本、マラソン、映画、サッカーのこと あれこれ!

塩田武士<罪の声>を読んで



 ずっと読んでみたかった塩田武士さんの<罪の声>を 読むことができました。30年以上前に起き 未解決事件となっている<グリコ森永事件>を モチーフにした 読み応えあるストーリーには つらい過去に 耐え抜いてきた 一人の人間の再生の物語でもありました。子どもの声で 録音されたテープが 使われたことは 当時 私は 19歳でしたが TVで報道されていたことは すごく印象に残っています。


 その使われた子供は 実は3人いました。そのうちの一人 テーラーを営む曽根俊也が 自分の母親のタンスからあったテープが 事件に使われたテープで それが 自分の幼い時の声が 使われていたことを 発見してしまったことから 物語は始まります。
同時期に この未解決事件の特集を企画した大日新聞の記者 阿久津が 独自の取材で この事件を探っていく 2次元中継で 物語が 進んでいきます。


途中 数多くの人たちに接して 少しずつ 事件の概要を つかんでいきます。過去に 犯人は どういう目的で どんな人たちだったのか と 色々語られていきす。株式の操作が絡んでいた?、警察に恨みを持つ者の犯行?、社会に反抗する者の犯行か? 身代金目的?北朝鮮説?などがありましたが ここで描かれているのは 北朝鮮説以外 すべてあてはまっている集団の犯人グループ6人で その中には 計画するもの、実行犯、青酸カリなどの調達と詳細者などがいて 元警察官ややくざ、左翼系の人たちが それぞれの目的をもって 絡んでいたという事です。その中で 面が割れているのが きつね目の男。一連の事件は その6人中心で それら複雑に絡み合った中 犯行は 行われます。


 この事件には モデルとなった事件が あったのは 少し驚かされました。オランダのビール会社ハイネケンの社長が 誘拐され 身代金を 要求されたという事件が 4カ月前に 実際あったそうです。


 もちろんこの小説は フィクションですが 発生日時、場所、脅迫や挑戦状の内容などの事実関係は 極力再現したしたと 作者が書かれている通り 本当に起こったかのように 迫ってくるところがあるのは この小説のリアルで興味深いところです。ただ固有名詞は さすがに変えられていて グリコは「ギンガ」、森永は「萬堂」。そして「かい人21面相」を 「鞍馬天狗」と名乗っている所が 作者のユーモアかもしれないです。


そして この事件の犯人グループからの一連の警察への脅迫状にも どこかユーモアがあり 大阪人の心を とらえていて 面白がっている風潮は 確かに あったと思います。少し 不謹慎ですが。なぜ 大阪人の心を とらえたか?大阪人は 根本的に 強い権力と金持ちは 大嫌いなのです。(笑)



そして 他の読書感想を 調べていたら こんなのが 出てきました。(笑)



わしらのこと ぎょうさん しらべた ようやな
あのころ どくいり きけんの かし くわんで よかったのお
かわんかった おかあちゃんに かんしゃ せえや
警察 は いまでも あほばかりや
きみらと ちごおて ぜんぜん せいちょう しとらん
せきにん とるやつも はんせい するやつも おらへん
この ほん よんで よお わかった




 最初に 戻りますが この事件で 一体だれが 一番犠牲になったのか という事で 脅迫に使われたテープの子供の人生が 滅茶苦茶になってしまったというストーリーが 続きます。本当に悲しくなり 涙を誘います。この部分だけでも 大変価値ある人間物語で 物語をただの事件で 終わらせない 作者のうまさが 光っている場面だと思いました。 
  


グリコ・森永事件(グリコ・もりながじけん) Wikipediaより
1984年(昭和59年)と1985年(昭和60年)に、阪神を舞台として食品会社を標的とした一連の企業脅迫事件。
警察庁広域重要指定114号事件。犯人が「かい人21面相」と名乗ったことから、かい人21面相事件などとも呼ぶ。
2000年(平成12年)2月13日に愛知青酸入り菓子ばら撒き事件の殺人未遂罪が時効を迎え、全ての事件の公訴時効が成立し、この事件は完全犯罪となり、警察庁広域重要指定事件では初の未解決事件となった。  
                                 Wikipediaより

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