ちょこっと感動日記

毎日のちょっとした熱~い感動を綴るマイブーム日記。音楽、本、マラソン、映画、サッカーのこと あれこれ!

多和田葉子<献灯使>を読んで

 


 最近読んだ本から少し。多和田葉子さんの<献灯使>は 私にとっては ちょっと難しかったので これから 読んでみたいなあと 思っている人には ほとんど参考には ならないと思いますが 私なりに思ったことを 少し書いてみたいと思います。


 多和田葉子さんの<献灯使>のことを 知ったのは ニュース番組のちょっとしたインタビューで なんか今まで あまり お目にかかったことが ないような 異次元近未来のことが 書かれているのに とても興味を持ったのが この本との出会いでした。
実際読んでみると 特別なストーリーは ほとんどないし 展開もない たんたんとすすんで160ページが 過ぎました。


 主人公は 100歳を過ぎても 元気な作家、義郎で ひ孫の無名(むめい)の 面倒を 見ながら 生活しています。災害の影響で 東京が 住むところでは なくなり 首都としての 機能を 失くしてしまっている。異常気象、資源不足、汚染された自然、警察は 民営化となり 外来語、自動車、ネットなどは 無くなり 鎖国状態に なっている日本という国で 生活しています。


現在 起こっていることが そのまま続いて 挙句の果てに もう何年か先には 本当に この小説に出てくるような状態になりうる可能性は 十分考えられると 思うところに 怖さがあるのではないかと思いました。


ユートピアとは正反対のデストピアの世界を 表現した小説で 以前読んだ 有川浩さんの<塩の街>のような一つに偏ったモノではなくて 我々が 今現在が どんどん進行していった先に 結果として 残ったものが たくさん描かれているのも この小説の面白くもあり 恐ろしいところでもあります。


 人間関係が描かれて描かれている所 なぜ 義郎ひとりで 病弱なひ孫の無名の世話とすようになったのか?とか 義郎の妻、子供、孫からひ孫との人としての繋がり、学校のクラスメイトの距離感など 独特の描写が 印象に残りました。


最期には 無名が 未来に 希望を託す献灯使に 選ばれます。まるで 4歳の時にダライ・ラマ14世に就任した時みたいに。


この小説は 全米図書賞 第一回翻訳文学部門を 受賞されたということで 日本以外の所でも 話題になっているということです。実際に 多和田さんが 福島原発での被災地を 見て回られたことも この小説が 単なるデストピア文学だけではなく 小さな希望の光が 立ち込めている所が 評価された所以かもしれません。 この他にも 4編の短編が収録されていますので これから 読んでみようと思います。

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